いぶき

クリストバライト系埋没材

製品詳細
3kg(3kg×1箱)
18kg(18kg×1箱)
開発経緯
なぜ原型(ワックスパターン)のままの鋳造体ができないのか?
臨床におけるこの疑問を出発点とし、富士石膏株式会社と5年に及ぶ試行錯誤の結果生まれたのが夢の埋没材「いぶき」です。
2001年の販売開始以来 品質管理を徹底するため、ロットごとに硬化膨張、熱膨張、操作時間、鋳造体の状態を検査し、基準を満たしたもののみ商品としてお届けしています。
そのため、大量生産できませんが自信をもって販売していますので安心してご使用いただけます。
特徴
急速加熱埋没材の便利さと従来加熱型埋没材の安全性を兼備。埋没30分でクイック法でも従来法でも可能な新しいタイプのクリストバライト系埋没材です。
熱膨張の変化が少なく、硬化膨張を抑えたことにより適合の良い補綴物を提供できます。ロットごとに検査・調整を徹底し、製品の品質を維持するように管理しています。
本品100gに対して2mlから3ml程度混水比を変えることで、支台歯のテーパーの度合いやアンダーカット量に応じて緩くもきつくもコントロールできます。
よくあるご質問
ラバーボールや真空攪拌カップについて
ラバーボールや真空攪拌用のカップの内面には、練和した埋没材・石膏・コロイダルシリカなどがしみ込み、きれいに洗っても成分が残っている可能性があります。
特にリン酸塩系埋没材は石膏やクリストバライト系埋没材に悪影響を及ぼす可能性があるので、専用のラバーボールやカップを使用する事をお勧めします。

埋没材を練和する前に
長時間使用していなかったり(朝一番など)連続して使用すると、ラバーボールやカップの水分の含有量が変わり、埋没材や石膏の混水比に影響を与えます。常に同じ条件になるように使用前には一度水で満たし、水分を含ませそのあと、手で水分を振り飛ばすかタオルで拭くなど条件を決め、毎回なるべく同じ水分含有量になるよう工夫して下さい。またラバーボールやカップの大きさは埋没材がしっかり練れるように、少し余裕を持った大きさの物を使用して下さい。

練和用の水について
埋没材を練和するための水は、蛇口から出しすぐ使用するのではなく、室温と同じくらいの水温になるように汲み置きをされる事をお勧めします。また、地域や場所によっては、水質や硬度が埋没用の水としてあまり適さない事があります。そのような場合は精製水の使用をお勧めします。

練和について
クリストバライト系埋没材は、主成分である石膏により強度を出しています。しかし石膏は硬化時に膨張するため、含有量が多ければ不適合要素である硬化膨張が大きくなります。そこで『いぶき』は石膏の量を極力少なくして硬化膨張を減らし、熱膨張を大きくすることにより埋没材の総膨張を出しています。よって『いぶき』本来の強度のために混水比を正確に測り、練和時にはしっかりと練り込んで下さい。そのあと真空攪拌機により脱泡しますが、機械練和により遠心力で埋没材の大小の粒子が分離させられる可能性があります。そのため機械練和後、スパチュラなどでもう一度混ぜ直し、大小の粒子を均一に混ぜ合わせてからリングに埋没することをお勧めします。
手練りは30秒から60秒ぐらい、かなりしっかりと手で練り込んで下さい。
錬り感を言葉で表現すると最初の錬り初めは少し重く、次第に少し軽い練り感になり、しっかりと練り込むとクリーミーな感じになります。この状態がよく練和できた状態です。この時期を過ぎてそのまま練和していくと重みが出てきた状態となり、過剰錬和となります。この状態ではせっかくの結晶を壊していることになるので本来の物性が出にくくなります。

硬化膨張はなぜいけないのか
埋没材が硬化するとき、埋没材内にあるワックスパターンが硬化膨張を妨げます。ワックスパターンの厚みや形の違いにより、膨張の抑制に差ができ不均一な膨張になってしまいます。
『いぶき』は 変形要素である硬化膨張を極力抑え、熱膨張を大きくすることで金属の収縮を補っています。
クリストバライト系埋没材とリン酸塩系埋没材での適合の違いは、この不均一な硬化膨張が影響しています。
リン酸塩系埋没材では硬化反応の熱で鋳型内のワックスが軟化させられるため、ワックスの硬化膨張抑制作用が少なくなりますが、硬化反応熱がほとんどないクリストバライト系埋没材では ワックスパターンに硬化膨張を抑制させられてしまいます。

しっかり練和するために
始めに計量した水をラバーボールに入れ、その中に計量した埋没材を加えて下さい。いきなり真空攪拌カップでスパチュラを用いて練和すると、カップ内面を傷つけたり、カップの形状や硬さなどによりしっかりと練り込みにくいので、ラバーボールを使用して練り込み、そののち脱泡のため真空攪拌カップに移し変え機械練和して下さい。

練り込むコツ
最初は少しかき混ぜて水となじませた後、ラバーボールを斜め45°くらいに傾け下半分を使用し、スパチュラを回転させ練和するのではなく、ラバーボールの内壁にスパチュラをこすりつけるように、左右に往復させながらしっかりと水と埋没材を均一になじませて下さい。そのあと、意識してしっかりと回転により練り込むようにして下さい。一方向だけではなく、時々逆方向にも回転させて下さい。その時ラバーボールの柔軟性を利用して少し力を加えて、ラバーボールを練和しやすい形に変形させると練りやすいと思います。
一般的に液と粉(石膏・レジン・陶材など)を練和する場合は先に液を入れ、あとから粉を入れると練和が容易に行えます。

真空攪拌した後、真空攪拌カップ内に荒い粒子が残っている
埋没材の粒子に大きさの違いを意図的につけることにより 『いぶき』の特徴であるシャープなマージン再現性を可能にしています。 そのため攪拌カップと攪拌羽の間に隙間が開てると、比較的大きな粒子が沈殿してしまいます。機械練和後バイブレーターを当てながらかき混ぜて、荒い粒子と細かい粒子を混ぜ直して下さい。
手練りと機械錬りであれば手錬りの方がよく攪拌できる傾向があります。真空攪拌器は脱泡の目的で使用していると考えて頂く方が良いと思います。

埋没について
一度に複数のリングを埋没される場合は、1つのリングのリング上面まで完全に満たしてから、次の埋没を行って下さい。パターンが隠れるまで複数個埋没したあと、その上から埋没材を注ぎ足すと、リング加熱時にその部分から剥がれたり、割れたりする可能性があります。無理して埋没するのではなく、余裕を持って埋没を行う事が後々のトラブルが少なくなると思われます。

リングをファーネスに入れるタイミング
リングの大きさや気温・室温により、硬化反応速度が影響を受ける可能性があるので、安全のために埋没材硬化後、少し長めに時間を置いて(40~60分くらい)リングファーネスに入れる事をお勧めします。

リング焼却について
リングファーネスが係留温度に達しても埋没体のワックス(カーボン)が焼却できていない場合があります。高温で焼却してもリングファーネス内の酸素が足りなければ、カーボンを焼却することができません。時々リングファーネスの扉を開けるなどの方法で空気を入れ換える必要があります。リングファーネス内に入れるリングの数が多い時などは、特に酸素不足を生じやすく、係留温度を延ばしてもカーボンを完全に焼却することが難しくなるので、リングファーネス内の換気に注意する必要があります。

鋳造体が面あれを起こしている
鋳造体外面の場合
吸水性のリングライナーが影響している可能性があります。吸水性のリングライナーを使用した場合、埋没材の硬化時に、ライナーに吸水された硬化前の埋没材の水分が、埋没材硬化後、固まった埋没材に再吸水されて鋳造欠陥を起こしている可能性があります。 『 いぶきライナー 』はその点を考慮して作られた、非吸水性のリングライナーです。
鋳造体内面の場合
パターン内面に付着しているワックス分離材が影響している可能性があります。この分離材を除去するため、『いぶきクリーナー』を噴霧し分離材を浮き上がらせ、その後クラウン内面を水で洗い流してください。
ワックス分離材 『 シーサーバリア 』はその点を考慮して作られているため、ほぼそのような面あれがありません。

鋳造体にバリが入る
鋳造圧が強すぎる可能性もあるので、鋳造可能なできるだけ低鋳造圧にすることをお勧めします。
埋没材注入時に、パターン内面に表面活性剤などの水分が残っているとバリや面あれを起こす可能性があります。活性剤などは、エアーで吹き飛ばしてから埋没して下さい。
リングライナーがリングに沿ってきれいに巻けていないと、リングとライナーの間に隙間ができ、鋳造圧によりその隙間の強度不足からバリが入る可能性があります。特に変形したリング(デコボコした)を使用すると、隙間が出来やすいです。鋳造後リングから鋳造体を取り出す時、リング側面をたたいて鋳型材を崩すのではなく、鋳型材をリングから押し出した後、割り出して下さい。一度リングをたたいて変形させてしまうと鋳型材をリングから押し出すことができにくくなってしまいます。
埋没硬化後、リングの上・下両面をナイフなどで平らにして下さい。リング平面より埋没材がオーバーして盛り上がったままで加熱すると、埋没材が飛んだり亀裂が入る可能性があります。また遠心鋳造時には、そのリング平面よりオーバーした部分に鋳造圧が集中して、埋没材に亀裂が入り鋳造物にバリが入ることがあります。逆にリング平面にまで埋没材が満たされていないと、鋳造圧によりリングと埋没材がズレて、バリが入る可能性があります。

加圧釜で加圧を行うと適合感がきつくなる
加圧釜内で空気圧がかかると、リングライナーが空気圧によって圧縮されライナーの緩衝効果が弱くなり、少しきつめの適合感になる可能性があります。加圧釜を使用される場合、リングの側面に穴をいくつか空けていただくか(リング中央部に対角線上に4ヶ所ぐらい、直径約3mm程度の穴で十分です)リング上面にライナーの縁を出して、ライナーがリングより出て外気と触れるようにして下さい。

支台歯模型へ適合感がきつい
埋没材の構造(練和によりできる硬化体の結晶)が一定でないと、膨張に影響を与える可能性があるため、硬化体の結晶が安定するように埋没材の温度と水温を一定に保って練和する必要があります。
気温や水温の低い冬は、埋没体の温度が低く硬化反応が遅くなりがちです。そのため本来の膨張が出にくくなる傾向があります。
また 気温や水温の高い夏は硬化反応が速いため、多くのリングを一度で埋没しようとすると、埋没途中に硬化が始まることがあり、その状態で埋没を続行してしまうと硬化によって出来た結晶が破壊されてしまい、本来の膨張が出にくくなります。
そのような事を防ぐため、埋没作業は朝一番などを避け、室温や水温が安定したのち行うのが良いと思われます。
膨張が出にくい時は、リングファーネスの昇温スピードをゆっくり上昇させるか、係留を長くして熱カロリーを埋没体に多めに加えて下さい。

金銀パラジウム合金と金合金によって混水比を変える必要があるのか
金銀パラジウム合金と金合金とは、熱収縮は少し違いますが臨床的にはほとんど差がないと思われます。
使用する金属と言うよりも、症例個々の適合感や支台歯の状況(長さやテーパー度合など)により、混水比を変えるほうが良いと思われます。
ここで歯科鋳造における鋳造収縮を分類すると
1.溶湯の収縮 : 合金が溶解した状態から液相点までの収縮
2.凝固収縮 : 液相点から固相点までの収縮
3.熱収縮 : 固相点(固体の状態)から室温までの収縮
以上の3段階に分けることができ、それぞれの段階で起こる収縮について考えると
溶湯の収縮
鋳型内において液体状態であるため、自由に形態変化できるので鋳造収縮としての影響はほとんど考えなくて良いと思われます。
凝固収縮
歯科鋳造は工業界の鋳造に比べると小型で鋳型内で速やかに凝固が終了することと、圧力を加え続ける押し湯があることにより凝固収縮が抑制できるので、ほとんど影響がないものと思われます。
熱収縮
実際の歯科鋳造においてはこの収縮が一番問題で、この収縮を埋没材の硬化膨張・加熱膨張で補っています。つまり金属が液体から固体になった温度から室温まで冷える時の収縮量(純金であれば1063度から室温である約25度までの約1038度分)を補うわけです。
パラジウム 白金
熱膨張係数(×10-6) 14.2 11.8 19.7 8.9
融点(℃) 1063 1552 961 1769
ここで個々の金属における熱膨張係数を上の図で見てみると、金と白金では係数にかなりの差がありますが、融点がかなり違うため固相点から室温までの収縮量には双方さほど変わりがないと考えられます。 陶材焼付用メタルは融解温度(固相点)が高いため、リン酸塩系埋没材などの硬化膨張・熱膨張の大きな埋没材が必要になり、クリストバライト埋没材は使用される金属の融解温度(固相点)が低いため、膨張が小さくていいわけです。 よってクリストバライト系の埋没材では鋳型強度と膨張量の両面で、陶材焼付用メタルの鋳造は適しません。

石膏や埋没材の保管について
直射日光を避け、なるべく温度変化の少ない場所で保管して下さい。開封後はタッパウェアーなどの密封できる容器に移し替えて、しっかり密封して保管して下さい。運送時や保存容器の移動などにより、荒い粒子と細かい粒子とが分離する事があるため、使用前には容器の下からしっかり混ぜ直して使用して下さい。『 粉もの 』(石膏・埋没材・レジン・陶材など)は運送時や保管時の振動などにより、粉子が不均一になっている事があるため、使用前に粒子が均一になるように混ぜ直すことをお勧めします。

インプラントの上部構造の鋳接にも使用可能か
インプラントのように肉厚な鋳造体の場合『 いぶき 』に限らずクリストバライト系埋没材では強度不足が考えられるのでお勧めできません。
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